shikisai対談 Part2|畑耕平が宅録ナレーターとして仕事を取った方法

声の仕事に興味を持ち、養成所に通い始めた畑耕平さん。

しかし、最初から順調だったわけではありません。

養成所ではセリフを取れず、悔しい思いをしたこともありました。

それでも練習を重ねる中で、少しずつ役をもらえるようになっていきます。

ただ、そこで畑さんが感じたのは、声優として食べていくことの難しさでした。

畑さん

「声の仕事を続けたい」
「でも、どうすれば仕事になるのか分からない」

そんな現実と向き合いながら、畑さんは自宅で収録し、自分で営業する道を選びます。

今回お届けするのは、YouVoice Academyとshikisaiによるコラボ対談のPart2です。

畑さんが、どのように宅録ナレーターとして仕事を取り始めたのか。

そして、年収740円の時代から、声の仕事で生活できる手応えをつかむまで。

畑さんが、どのように宅録ナレーターとして仕事を取り始めたのか。
そして、年収740円の時代から、声の仕事で生活できる手応えをつかむまで。

ここからは、shikisaiの石塚さんと畑さんの対話形式でお届けします。


目次

声優で食べていく難しさを感じた

石塚さん

養成所で少しずつ役をもらえるようになった一方で、声優で食べていく難しさも感じていたんですよね。

畑さん

そうですね。養成所に通えば通うほど、声優で食べていくのは難しいんだなと感じました。

石塚さん

それは、どんなところで感じたんですか?

畑さん

声優になりたい人は本当にたくさんいます。事務所に受かれば嬉しいのは分かりますが、それで食べていけるかは別の話だと思ったんです。

石塚さん

事務所に入ることと、仕事として続けられることは違うということですね。

畑さん

はい。一時的に食べていけたとしても、それが続くかは分かりません。そこは、わりと早い段階で感じていました。

石塚さん

その後は、どのように動いていったんですか?

畑さん

養成所を出た後、表現の世界をもっと知ったほうがいいと思って京都に引っ越しました。東映太秦映画村にある養成所にも行ってみたんです。

石塚さん

そこでまた学び直そうとしたんですね。

畑さん

そうですね。ただ、そこも自分には合わないなと感じました。その後、別の事務所に所属したこともあります。

石塚さん

事務所に所属してみて、仕事は増えましたか?

畑さん

あまり増えませんでした。事務所の力でも仕事が取れなかったと言われてしまって、じゃあどうしたらいいのかを考えるようになりました。


自宅で収録して、自分で営業するという選択

石塚さん

事務所にいても仕事がないなら、自分で動くしかないと考えたんですね。

畑さん

そうですね。自分で営業をかけて、自宅で収録して納品する形なら可能性があるのではと思いました。

石塚さん

いわゆる宅録ナレーターのような形ですね。

畑さん

はい。もちろん、スタジオ収録に比べるとクオリティでは負ける部分もあります。でも、安く早く納品できることに価値を感じてくれる会社はあるのではと思いました。

石塚さん

最初は、どんな機材で始めたんですか?

畑さん

Skype用の900円くらいのマイクと、無料の録音ソフトです。本当にそこから始めました。

石塚さん

かなり身近な環境からのスタートだったんですね。

畑さん

そうですね。今考えると環境としてはかなり簡易的でしたが、まずは始めるしかありませんでした。

石塚さん

営業を始めて、すぐに仕事は取れましたか?

畑さん

全く取れませんでした。実績も何もなかったので、営業をしても簡単には仕事にならなかったです。

石塚さん

やはり最初の実績を作るところが大変なんですね。

畑さん

そうですね。声の仕事をしたいと言っても、相手からすると「この人に任せて大丈夫なのか」が分かりません。そこを越えるのが最初の壁でした。


最初の案件は370円だった

石塚さん

最初に仕事が取れたのは、どんな案件だったんですか?

畑さん

ゲームの声を全部やってほしいという案件でした。モンスターの声も主人公の声も、全部自分でやるような内容です。

石塚さん

かなり大変そうですね。報酬はどのくらいだったんですか?

畑さん

370円でした。

石塚さん

370円ですか。

畑さん

はい。正直、足元を見られたなとは思いました。ただ、実績がない以上、「その金額では受けられません」と言っても、別の高い案件が来るわけではありません。

石塚さん

まずは実績を作るために受けたんですね。

畑さん

そうです。今は安さで勝負するしかないと思って、「分かりました、やります」と受けました。

石塚さん

その案件が終わった後、すぐに次の仕事につながったんですか?

畑さん

すぐにはつながりませんでした。また半年後くらいに、同じところから同じような条件で話が来たくらいです。

石塚さん

では、その年の声の仕事の収入はかなり少なかったんですね。

畑さん

そうですね。その年の声の年収でいうと、740円です。

石塚さん

年収740円…..本当ですか?

畑さん

年収と言っていいのか分からないくらいです。でも、そこからのスタートでした。


うまくいくか分からなくても、続けてみた

石塚さん

年収740円の状態で、それでも声の仕事を続けようと思えたのはなぜですか?

畑さん

うまくいくかどうかは分かりませんでした。でも、自分の性格や人間性を考えた時に、どこかに就職してサラリーマンをやるのも向いていないと思ったんです。

石塚さん

声の仕事が成功する確信があったというより、他の生き方もしっくり来なかったんですね。

畑さん

そうですね。自分に合う仕事って何だろうと考えた時に、なかなか見つかりませんでした。だったら、うまくいかなかったらいかなかったでいいから、これをやってみようと思いました。

石塚さん

その時は、声の仕事だけで生活していたんですか?

畑さん

いえ、フリーターをしながらです。声の営業と仕事を、細々と続けていました。

石塚さん

すぐに結果が出なくても、完全にはやめなかったんですね。

畑さん

はい。途中で海外にホームレスの旅に行ったり、友人の会社で一時的に働いたりもしました。声の仕事から少し離れるタイミングもありました。

石塚さん

それでも、声の仕事は続けていたんですね。

畑さん

そうですね。大きく伸びていたわけではありませんが、完全には切らずに続けていました。


仕事が増えるきっかけになった実績

石塚さん

そこから、声の仕事のステージが変わったと感じたタイミングはありましたか?

畑さん

20代後半になってからですね。エアコン工事の仕事をしながら、声の仕事の営業も続けていました。

石塚さん

その頃に、何かきっかけがあったんですか?

畑さん

27歳くらいの時に、BMWのディーラーのCMと、テレビ徳島の旅番組ナレーションの仕事が立て続けに入りました。

石塚さん

かなり大きな実績ですね。

畑さん

はい。しかも、その実績を公開しても大丈夫だったんです。それを武器にして営業を続けました。

石塚さん

実績を見せられるようになったことで、反応が変わったんですね。

畑さん

そうですね。「このBMWのCMみたいにお願いします」と言われるようになりました。クライアントがイメージしやすくなったんです。

石塚さん

声の仕事では、実績を見せられることが大きいんですね。

畑さん

大きいと思います。何もない状態だと相手も判断しづらいですが、具体的な実績があると任せてもらいやすくなります。


月5万円から、月20万円へ

石塚さん

その実績ができてから、収入面にも変化はありましたか?

畑さん

ありました。それまでは、月5万円あればいい方という感覚でした。

石塚さん

そこからどのくらい変わったんですか?

畑さん

BMWのCMや旅番組の仕事の後、1〜2ヶ月くらいで、声の仕事だけで月20万円ほど稼げるようになってきました。

石塚さん

一気に生活に近づいた感じですね。

畑さん

そうですね。この調子でいけば、声の仕事でやっていけるかもしれないと思いました。

石塚さん

そこから、声の仕事に使う時間も増やしていったんですか?

畑さん

はい。別の仕事をしている時間がもったいないと感じるようになりました。その時間を営業や収録に使った方がいいと思ったんです。

石塚さん

一日の使い方も変わっていったんですね。

畑さん

そうです。営業する時間と収録する時間で一日を構成するようにして、さらに仕事を増やしていきました。


声の仕事を「仕事」にするために必要だったこと

石塚さん

ここまでのお話を聞くと、声の仕事を続けるには、声の技術だけでは足りないように感じます。

畑さん

そうですね。もちろん技術は必要です。ただ、仕事にするには、自分で動くこともかなり大事だと思います。

石塚さん

待っているだけでは仕事にならないということですね。

畑さん

はい。特に最初は実績もありません。だからこそ、自分から営業して、小さな案件でも実績を作っていく必要がありました。

石塚さん

最初の370円の案件も、今につながる一歩だったんですね。

畑さん

そう思います。その時は大きな金額ではありませんでしたが、何もない状態から最初の実績を作ることには意味がありました。

石塚さん

YouVoice Academyでも、技術だけではなく仕事の取り方を大切にしているのは、畑さん自身の経験があるからなんですね。

畑さん

そうですね。声を学ぶだけでなく、どうやって仕事につなげるのか。そこまで学べる場所にしたいと思っています。

石塚さん

未経験の方にとっては、そこが一番分からない部分かもしれません。

畑さん

まさにそうだと思います。声の練習をするだけではなく、仕事として成立させるための考え方や動き方も必要です。


Part3へ続く:ヒューマンバグ大学との出会い

年収740円から始まった、畑さんの宅録ナレーターとしての道のり。

最初は、900円ほどのマイクと無料の録音ソフトからのスタートでした。

仕事は簡単には取れず、最初の案件は370円。

それでも畑さんは、自分で営業し、収録し、少しずつ実績を積み重ねていきました。

そして、BMWのCMやテレビ番組のナレーションをきっかけに、声の仕事は大きく広がっていきます。

しかし、畑さんの仕事がさらに大きく変わる出会いは、この後に訪れます。

それが、YouTubeチャンネル「ヒューマンバグ大学」との出会いです。

当時はまだ登録者が少なかったチャンネルが、ある動画をきっかけに大きく伸びていく。

そして、漫画動画という新しい市場の中で、YouTubeナレーターの可能性が広がっていきます。

Part3では、畑さんとヒューマンバグ大学の出会い、漫画動画の仕事の裏側、そしてYouVoice Academyを立ち上げた理由についてお届けします。

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